
どうも、でぶちょ社長です
以前のブログで、私が長年勤めた会社を辞めて「新しい一歩」を踏み出す最後の背中を押してくれたのは、岡本太郎さんの著書『自分の中に毒を持て』だったというお話をしました。(詳しくはこちらです。)
岡本太郎さんの言葉に突き動かされて現状維持を飛び出した、というのは間違いなく事実です。ただ、その情熱の炎に火がつくよりも前に、私の頭の中では「ある1冊の本から導き出した、これからの時代を生き抜くための考え方」がすでにしっかりと組み立てられていました。
今日は、私がものづくりの設計という慣れ親しんだ仕事から、なぜ別の道へと舵を切る決意をしたのか、その理由についてお話ししたいと思います。
キャリアを見直すきっかけになった、本との出会いと将来への不安
私が自分のこれからの仕事について真剣に悩み始めた2019年頃、世間はまだ「AIが進化した未来なんて、まだまだ先の話」「自分たちの専門的な仕事にはそこまで影響はないだろう」と、どこか遠い国の出来事のように捉えていた時期でした。
そんな中、私が本屋さんでふと手に取ったのが、井上智洋氏の著書『純粋機械化経済 頭脳資本主義と日本の没落』(日本経済新聞出版)という本です。
当時、ITの専門家でもない私がこの本を手に取った理由は、ひとりの親として、そしてこれからの社会を考える一人の人間としての「将来への漠然とした不安」からでした。
世界の中で日本のものづくりの立ち位置が少しずつ変わっていく中で、「工場の自動化がもっと進んでいったら、これまでの仕組みはどう変わっていくんだろう」「私たちが誇ってきた技術は、これからどうなっていくのだろう」という疑問が常に頭の中にあったのです。
「この本を読めば、自分が何に対して不安を感じているのか、その正体がわかるかもしれない」
そう直感し、私は吸い寄せられるようにその本をめくりました。
大きな変化の予感:自動化の波がものづくりの現場や設計の仕事にもたらすこと
この本が提示していたのは、AIやロボットの手を借りることで、人間がこれまで行ってきた多くの作業が自動化されていくという、非常に現実的な未来の予測でした。
じっくりと読み進めるうちに、製造業の設計の現場にいた私の頭の中で、日頃の仕事の風景と本の言葉がカチッと繋がり、2つの大きな気づきが生まれました。
- 世界の技術のスピード感:
新しい仕組みを取り入れるスピードにおいて、これまでのやり方にこだわる組織と、新しい技術をどんどん試す海外の勢いとでは、変化の速さに大きな差がついてしまうのではないか。 - 自分自身の仕事の役割の変化:
これまで「条件に合わせて数値を細かく調整し、最適な答えを出す」という設計の仕事は、人間だからこそできる高度な頭脳労働だと思っていました。しかし、実はこれこそが「あらかじめ決まったルールに沿って、たくさんの情報を処理するのが得意なAI」に最も適した作業そのものだったのです。
「工場の自動化だけでなく、デスクの上で行う設計の仕事にも、この波は確実にやってくる。このまま同じ場所にいるだけでは、自分の役割が変わってしまうかもしれない」
世間が現在の生成AIのブームで賑わうずっと前の2019年。この仕組みの変化を頭の中で組み立てたとき、私の中の理系としてのロジックが「今の場所にただ留まり続けることのリスク」を、静かに、そして明確に弾き出したのでした。
自分なりの答え:人の柔軟な判断が必要な「1点ものの仕事」への転換
自分の仕事がいつか新しい技術に置き換わる可能性がある。そう考えた私が導き出した道は、とてもシンプルなものでした。
「自動化や一律の処理が得意なAIとは真逆の、代わりのきかない仕事にシフトしよう」
AIなどの技術が最も力を発揮するのは、決まったルールの中で、大量の情報を処理し、同じ質の答えを素早くたくさん生み出すことです。
であれば、その真逆を行けばいい。 「毎回シチュエーションが異なり、マニュアル化が難しく、人間同士の幅広いやり取りや、その場に応じた臨機応変な対応が必要とされる、1点ものの仕事」。ここであれば、これからの時代でもきっと大切にされ続けるはずだ、と考えたのです。
そう決意して、私は長年身を置いた量産の世界から、現在の仕事へと舵を切りました。
今の私の仕事は、毎回同じものをたくさん作る世界ではありません。現場ごとに、毎回全く違う状況に直面します。その都度、柔軟な判断で一つひとつ形にしていく仕事です。
2019年当時に自分なりに考えて出したこの答えは、AIが日常に溶け込んだ2026年の今振り返っても、家族にとっても自分にとっても、本当に前向きで正しい選択だったと確信しています。
▼私が転職で年収を上げた転職戦略の全貌はこちらです!

ロジックで現状を捉え、情熱で未来の一歩を踏み出す
『純粋機械化経済』という本は、私に「現状維持のままでいることの長期的なリスク(論理の視点)」を教えてくれました。
しかし、頭の中でいくら「次のステップに進んだほうがいい」と理解できても、長年勤めた居心地の良い場所や安定を捨てるのは、そう簡単なことではありません。頭のデータや理由だけでは、人間は最後の一歩を踏み出せないものです。
現状維持の安心感と、未来への変化への間で身動きが取れなくなっていた私。そんな迷えるパパの背中を、最後に「ドンッ!」と力強く支えてくれたのが、冒頭でご紹介した岡本太郎さんの『自分の中に毒を持て』でした。
- 経済書が、これからのキャリアを考える「理由(ロジック)」をくれた。
- 岡本太郎さんの本が、新しい世界へ飛び出す「勇気(情熱)」をくれた。
理系としての先を見据える視点があったからこそ早く準備ができ、情熱があったからこそ思い切って一歩を踏み出せた。この両方の車輪があったからこそ、今の私があります。
これからの時代に漠然とした不安を抱えている方は、ただ怖がるのではなく、「技術が得意なこと」と「人間だからこそできる、毎回違う状況への対応」を切り分けて、これからの働き方をロジカルに考えてみるのがおすすめです。
▼AI時代に「先生になる」という息子の夢をパパが最高だと確信した理由はこちらです!

🎙️ 理系パパの独り言
あの時、あれほど恐怖を感じていたAIも、いざ本格的なAI時代になってみれば、私の大事な相棒になってくれています。息子の英語教育も、まさにこのAIを活用することで最適化できているわけですから。
新しいものが来た時、怖いのはみんな同じです。でも、怖いを怖いで終わらせず、向き合い方を考えたり、思い切って飛び込んで利用法を全力で考えることは大事ですね。
恐れること自体は、決して悪いことではありません。大切なのは、恐れてもいいから、前に進むことだけは忘れないことです。
私が今、AIに代替されにくい職種にいるからこそ、心に余裕を持ってAIを味方にできているのかもしれません。
息子たちにも、これから来る新しい技術の波に対して、大いに恐れながらも、決して歩みを止めずに上手に乗りこなしていってほしいなと思っています。